こんにちは。
今回のコラムは『膝の痛みについて~半月板損傷~』についてです。
その膝の痛みの原因は半月板損傷の可能性があります。
半月板損傷は、膝関節の内側と外側にある「半月板」が損傷することで
膝に痛みや引っかかりを感じる症状が多いです。
主な原因としては、「スポーツによる外傷と障害」と「加齢に伴う半月板の劣化」の2つが挙げられますが、年齢や性別を問わず発症する可能性がありますので、放っておくと突然激しい痛みを発症して、日常生活に大きく支障をきたす場合があります。
そのため、半月板損傷の症状や対処方法を行い、症状の悪化を予防することが非常に重要です。
本コラムでは、原因、症状、対処法、予防について説明させて頂きます。
まずは、半月板損傷とは?
半月板は膝の関節の大腿骨と脛骨の間にある繊維軟骨です。
膝関節の内側と外側に1つずつ存在し、どちらも「C」に似た形をしています。
この2つの半月板が膝関節を安定させると同時に、衝撃を吸収して荷重を分散させることで、軟骨を保護する役割があり、膝のなめらかな動作を可能にしています。
半月板損傷とは、この半月板に何らか(過体重、捻挫、打撲、加齢によるものなど)の要因で、亀裂が入ったり、ひどい場合には断裂した状態のことをいいます。
半月板は、レントゲンでは撮影できない組織ですので、損傷しているかどうかを確認するにはMRI検査が必要になります。
半月板損傷の原因は?
原因①:筋収縮
人体の中で、最も大きく、かつ複雑な組織、それが膝の関節といわれています。
体を動かすこと大きくに関わり、体重の大部分を膝の関節で支えているため、非常に強い負担がかかる関節でもあります。
それなのに、膝の関節は、関節だけでは動くことができない特殊な構造をしています。
大腿骨(太ももの骨)が脛骨(すねの骨)の上に乗っているだけで直接的な繋がりはなく、
安定性のほとんどを筋と靭帯(骨と骨をつなぐ、組織)に依存しています。
そのため、とても損傷しやすい関節のひとつでもあります。
そんな複雑な構造をした膝の半月板が、瞬間的に「ひねる」「ねじる」「ずれる」などの強い負荷を受けると、膝を守ろうとする防御本能が働き、筋肉・筋・靭帯といった周りの組織に強烈な「筋収縮」(筋肉の収縮)が起こります。
この「筋収縮」こそが、膝の痛みや関節の違和感、引っかかり感などの大きな一因となっているのです。
原因②:炎症
半月板損傷を回復させるためには、代謝を促すことが重要になります。
その大切な役割があるのは“炎症”です。
炎症は、組織の修復(回復)のために、血液が集まることによって起こります。
痛みは、そのときに出る化学物質“キニン”や“プロスタグランジン”によって起こっているのです。
炎症というと、良くないイメージがあるかもしれませんが、
実は、傷ついた体の修復(回復)に不可欠な反応でもあるのです。
とはいえ、この炎症が痛みを起こしているので、
炎症のもとになっている、損傷している場所を早く回復させることによって、
炎症をおさえることが必要となります。
その炎症を起こしている原因となっているのが、
“筋収縮”であるケースが多いのです。
つまり、半月板損傷の痛みは、損傷の原因によるものではなく、
筋収縮と炎症が関連した複合的な要因によって発生しています。
〇半月板損傷の痛みの仕組み
①半月板が損傷し、関節の動きが不安定になる
②他の組織が膝関節を守ろうとする
③その働きが高まると、周囲の筋肉が過緊張や収縮を引き起こす
④筋が損傷して、炎症を起こす
⑤脳が“痛み”というシグナルを発する
半月板損傷はどんな症状なの?
半月板損傷の症状
半月板を損傷すると強い痛みやいくつかの症状が起きます。
ここでは、半月板損傷で起こる症状について説明させて頂きます。
症状① 膝の曲げ伸ばしに支障
半月板損傷の症状のひとつとして、膝を曲げたり伸ばしたりしにくくなる可能性があります。
膝を完全に曲げ切ることができなくなったり、伸ばし切ることが難しかったり、動かそうとしたときに激しい痛みを伴うこともあります。
また、本人にはパソコンのマウスをクリックしたときのような音(クリック音)がしたり、ゴリッとした感覚が走ることもあります。
症状が重い場合には、断裂した半月板の一部が関節の隙間に入り込むことにより、
激しい痛みを伴って関節が動かせなくなる“ロッキング”という症状が現れることもあります。
症状② 関節の腫脹
その他の半月板損傷の症状としては、繰り返す腫脹(水腫)が挙げられます。
水腫とは、膝に水が溜まることで、滑膜の炎症が原因で起きます。
スポーツのダッシュやターンもしくは、加齢に伴うものだと日常生活のちょっとした動作でも、それが繰り返されるうちに最初は小さな損傷であっても動きが繰り返されることで、ダメージが蓄積して、その結果、少しずつ軟骨や、半月板などの膝の周囲の組織が摩耗して、削り取られてしまうのです。
こうして、削り取られた組織の一部のかけらが関節液の中を漂って、滑膜を刺激することになって、その結果、“水が溜まる”ということが起こります。
ここまで述べてきた症状に当てはまる場合、半月板損傷が疑われますので最寄りの整形外科を受診するようにしましょう。
半月板損傷になってしまったら
保存療法もしくは手術療法のどちらを選択してもアスレティックリハビリテーションが必要になります。
下記を参考にしながら進めていきましょう
アスレティックリハビリテーション
筋力が落ちたり、可動域が制限されて動かしづらくなった膝の機能を改善させます。
また、悪化や再発を予防するためにも重要です。
腫れや痛みが強い時期
半月板に傷がつき、炎症が起こっている時期です。
この時期に無理に膝を動かすと炎症が悪化してしまうため、
負荷を調整しながら関節が固まってしまったり、筋力が低下してしまったりすることを防ぎます。
・安静やアイシングによる消炎処置
・松葉杖等の処方、指導
・物理療法(電気治療や超音波治療など)
腫れや痛みが引いた時期
炎症が治まってきたら、運動療法を中心として低下した筋力や可動域の改善をしていきます。
正しい動作を練習したり、負担のかかりにくい動作を習得することなども行っていきます。
可動域運動(柔軟性)
痛みによる筋肉のこわばりや関節の硬さはスムーズな動きを妨げるため、それらの組織に対してストレッチやマッサージなどを行い、柔らかく動きやすい関節を取り戻すことしていきます。
特に、膝関節は足首や股関節などの影響を大きく受けることから、それらの動きを確認して、可動性を失っているのであれば改善をしていきます。
筋力トレーニング
痛みによって、膝を動かさなくなると筋力は低下していきます。
また、膝の周囲(太もも)の筋肉は、膝にかかる負担を軽減し、安定化させる役割を持ちますので、筋力トレーニングによって、筋力を鍛えてきます。
バランス練習や運動の再学習
人はどこかをケガすると、そこをかばう動きがクセになり、本来の正しい動きを忘れてしまうことがあります。
このかばう動作は、他の部位に負担が集中したり、動きの効率が悪く疲れやすくなったりします。
バランス練習や動作の練習を行うことでそういった動きを修正し、元の動きを取り戻します。
半月板損傷の予防法は?
半月板損傷は予防できます。
半月板損傷はスポーツシーンや日常生活でも起こるケガであるため、日頃から予防をしっかりと行いケガ発生のリスクを軽減させることがとても重要です。
3つの予防法
膝関節のストレッチ
膝関節のストレッチを行うことで、大腿骨と脛骨をつなぐ靭帯や膝の周囲にある筋肉の柔軟性を保つことができます。
それにより体の安定感が保ちやすくなり、半月板への負担の軽減やケガの予防につながります。
太ももとお尻の筋肉の筋力トレーニング
太ももとお尻の筋肉トレーニングを行うことで膝関節の安定性が高まり、半月板損傷の予防が期待できます。
特にスクワットは下半身の筋肉だけでなく、体を支えるために欠かせないインナーマッスルの強化にも適しており、体幹が安定することで膝の痛みを予防できます。
バランス感覚を鍛えるトレーニング
体のバランスを向上するためにバランストレーニングを行うと、スポーツ中にバランスを崩してケガをしたり、日常生活での転倒による半月板損傷を防ぐことができます。
バランスボールを使用した運動や、スクワットもバランス強化にを高める効果があります。
まとめ
半月板は日常生活を送るうえで大切な役割を担っています。
半月板を損傷して機能を失うことで、日常生活における不便さをとても感じるようになりますし、強く痛みを感じることもあります。
半月板損傷は急な症状の変化が起こることもありますが、
多くは少しずつ進行していくことが可能性がある症状です。
あなたの知らないうちに症状が悪化していたなんてことにならないように、
膝の痛みや違和感があればすぐに専門化に相談する必要があります。
本コラムを読んでいただき少しでも、膝の痛みに対して対処できれば幸いです。
読んでいただきありがとうございます。
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